This too will pass(これもまた過ぎ去る)
ある王様のお話です。彼はきっと、とても賢い王様だったんでしょうね、彼は感情的な浮き沈みを克服したいと思っていたと言います。
大昔の王様っていうのは、戦士や従者の他に、かならずメンターというか信頼できる相談役を置いていたんです。その賢者は王様のリクエストに応えるべく、指輪を彼に与えたんです。
「ただし、、」と賢者は言います。
「ただし王様、この指輪の裏にはある秘密の言葉が書かれております。あなた様がこの先、何か窮地に追い込まれるようなことがあったときに、その指輪を開けてみられると良いでしょう。」
「ふむ。」と王様は言いました。
あるとき、彼の王国が敵に攻め入れられます。人びとは逃げまどい、王様はお付きの者と一緒に国を追われます。しかも敵国の強者たちが追いかけて来る! 何とか岩陰に身を隠したものの、もはや見つかるのは時間の問題!
そのときです。王様は例の指輪を思い出しました。
敵の馬のひずめの音が近づいてくる、、。王様は指輪を開けた!
そこに書かれていた言葉は、「This too will pass(これもまた過ぎ去る)」
その瞬間、王の中に限りない静寂が訪れたのです。
彼は目を閉じ、その静寂の中にくつろぎました。彼の存在が、静寂の中に溶け込んだのです。
やがて馬のひずめが遠のき、王は遠くに昇る太陽をはっきりと目にしたのです。
This too will pass、、、これもまた過ぎ去る。
混沌とした苦難の時があれば、おだやかに暮らせる豊かな日々もある。そしてそのどちらも、また過ぎ去るのです。生は変化するものーーそれを止めることはできない代わりに、一瞬一瞬を精一杯生きることではないでしょうか?